

| アイテム | リング |
|---|---|
| 石のカット | カボション |
| 石の大きさ | 11.30mm×8.90mm(5.557ct) |
| 制作方法 | デザインセレクト |
| 金属の種類 | プラチナ |





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ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
2020年、お客様はご自身の手で見つけられた糸魚川の翡翠を、ひとつのリングに仕立てられました。ちょうどお嬢様がお生まれになった年のことです。以来そのリングは、お客様にとって特別な一本であり続けてきました。
お手元には、まだかたちになっていない翡翠の原石が数点残っていました。今回ご相談いただいたのは、その中からお嬢様ご自身が選ばれた一石を親子で研磨し、カボション(角を立てず丸みを帯びた形に磨き上げる仕上げ)のルース(枠に留める前の裸石)へと仕上げたうえで、お嬢様のためのジュエリーにしたいというお話でした。
ご来店の日は、お嬢様とご一緒に。娘が気に入るものを。その一言に、この石に重ねられてきた時間の長さが表れていました。
【デザインのご提案とこだわり】
お預かりしたルースは、加工に入る前に事前鑑別を行いました。宝石の種類を科学的に特定する、制作の最初の確認です。結果は天然の翡翠(ジェダイト)。樹脂を染み込ませる処理の痕跡も認められず、ご自身の手で磨き上げられた石が、そのままの姿でジュエリーになることが確かめられました。
枠の素材にはプラチナをご提案しました。お嬢様が大人になられたとき、洋装にも和装にも静かに寄り添う色であること。そして永く使い続けていただける強さがあること。いま着けるためではなく、いつか手にされる日のためにという視点で選んだ素材です。
デザインは、ダイヤモンドを添えない案と添える案の両方をご覧いただきました。お嬢様が選ばれたのは、脇に小さなダイヤモンドを配した案。もう少し華やかに、という率直なご希望でした。
お客様は何度もこれがいいの?と確かめながら、最終的なかたちを決めていかれました。
【完成したジュエリーとその魅力】
仕上がったのは、淡い水色の翡翠を主役にしたプラチナのリングです。
センターストーン(中心に据える主役の石)は、ふっくらと丸みを帯びたオーバルのカボション。四本の爪が石の縁を確かに支え、正面をまっすぐに向いています。両脇には小さなダイヤモンドをひと粒ずつ。やわらかな水色に寄り添う光が、石の輪郭をそっと際立たせます。
石座の側面には透かし(地金を抜いて模様をつくる細工)を施しました。厚みのある石をしっかりと支えながらも重たく見えず、横から見たときに軽やかさが生まれます。アーム(指を囲む輪の部分)は指先へ向かってゆるやかに細くなり、手に馴染むかたちに整えました。
華やかさを足しながらも、主役はあくまで親子で磨いた一石です。石そのものの静けさを損なわないことを、最後まで判断の基準としました。
【ジュエリープランナーより】
原石を見つけ、磨き、かたちにする。その一連の時間を親子で分け合われたことこそが、この一本の何よりの価値だと感じています。
今はまだ、お嬢様の指には少し大きい一本かもしれません。それでも、いつか手にされる日が来たとき、この石を選んだ日の記憶ごと受け取っていただけるはずです。
想いはかたちになって受け継がれていくもの。私たちはその橋渡しを、これからも丁寧に務めてまいります。