

| アイテム | ブレスレット |
|---|---|
| 石のカット | ラウンド |
| 石の大きさ | 合計0.58ct(直径2.8mm×7石) |
| 制作方法 | パターンオーダー |
| 金属の種類 | プラチナ |





↑ マウスを重ねると大きく表示できます ↑
ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
お母様が遺されたジュエリーを、日常の中で身に着けられるようにしたい。そのご相談の中で、もう一本のリングをどうするかという話になりました。
お預かりしたのは、ラウンドブリリアントカット(丸く多面にカットされた形)のダイヤモンドが7石、横一列に並ぶリングです。石はどれも同じ大きさで揃い、まっすぐな一本の線を描いています。ただ、台座の作りは当時のままで、今の装いに添わせるには少し構えの要る一本でした。事前鑑別では、天然ダイヤモンドであることを確認しています。
はじめは、この7石を指輪に仕立て直す方向で考えていました。石をぐるりと並べたリングであれば、ふだんの指にもなじむのではないか。そうお考えになったそうです。母の石を、日々のそばに置いておきたい。ご希望の芯にあったのは、その一点でした。
【デザインのご提案とこだわり】
ところが、同じ大きさの石が入った見本を指に着けていただくと、印象が違いました。一石の直径は2.8ミリ。それが7石並ぶと、思い描いていたよりも存在感が出ます。「自分のイメージより、少し目立つ気がする」。お客様のその一言が、方向を変えました。
石そのものは変えられません。変えられるのは、置く場所です。そこでご提案したのが、7石を腕もとへ移し、鎖の上に等間隔で配したブレスレットでした。同じ石でも、置く場所が変われば正解も変わります。
留め方は、石の側面をぐるりと地金で包むかたち(ガードル巻き)にしました。爪が立たないぶん引っかかりが少なく、袖の出入りが多い腕もとでも扱いやすくなります。石枠はプラチナ900、鎖はプラチナ850。小さな輪を連ねた、丸みのある構造の鎖を合わせています。
【完成したジュエリーとその魅力】
仕上がったのは、細い鎖の上にダイヤモンドが7石、等間隔に浮かぶブレスレットです。石枠は輪郭に沿ってなめらかに磨き上げ、正面から見ると、鎖の細い線の上に光の粒だけが並んでいるように映ります。
手首に沿う長さに合わせているため、腕の動きにつれて石の位置がゆっくり入れ替わります。光る場所が定まらない、静かな揺らぎ。一列に固定される指輪では出せない表情です。
ふだんはスマートウォッチ、お出かけには腕時計。腕もとの使い分けがある中で、このブレスレットはどちらとも重ねられる細さに収めました。お客様からは、いつも着けていられそうという言葉をいただいています。
【ジュエリープランナーより】
お預かりしたリングの枠は、溶かして地金に戻し、同じ日にお受けしたもう一本の指輪の材料として使いました。今回のブレスレットの鎖と石枠には、新しいプラチナを用いています。細い鎖に必要な強度を確かめながら仕立てるには、そのほうが確実だからです。
形を変えても、無駄にはしません。石も地金も、それぞれに合った行き先があります。指から手首へ、身に着けられる場所が移っただけで、お母様から受け継がれたものは何ひとつ減っていません。