

| アイテム | リング |
|---|---|
| 石のカット | ラウンド |
| 石の大きさ | 合計0.168ct(直径2.0mm×5石) |
| 制作方法 | パターンオーダー |
| 金属の種類 | プラチナ、お持ちの金属 |





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ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
「もう指を通らなくなってしまって」。ご主人とご一緒にご来店されたお客様は、小さな箱を開けながらそう切り出されました。なかにあったのは、ご結婚のときに選ばれた細身のプラチナリングです。年月を重ねるうちに指のサイズが変わり、いつからか着けられないまま、しまわれたままになっていたといいます。
サイズ直しという方法もありますが、寸法の差が大きい場合には、元のデザインの線が崩れてしまうことがあります。それならば、とこれから楽しめる指輪を作りたいとお話しくださいました。
その日はもう一本、ご主人が長く手元に置いてこられた指輪もお持ちくださいました。今はもう会えないお母様の面影が宿る、ダイヤモンドを留めたプラチナの立て爪リング(石を爪で高く持ち上げて留めた形状)です。二本の指輪は、こうしてひとつのご相談の席に並びました。
【デザインのご提案とこだわり】
はじめにお預かりしたのは、二本の指輪と、そこに留められたダイヤモンド。加工に入る前に、石の種類を科学的に確かめる事前鑑別を行いました。硬さや性質を把握したうえで作業を進めるための手順であり、安心してお預けいただくための最初の一歩でもあります。天然のダイヤモンドであることを確認し、石はお外ししてお手元にお戻ししました。
残されたのは、純度の異なる二種類のプラチナです。これを溶かし、純度を整えたうえで一本の指輪に生まれ変わらせるご提案をしました。
形状は、ゆるやかなV字を描くもの。内側は内甲丸(内周の角を丸く削り、指当たりをやわらげる仕上げ)とし、長く着けていても負担を感じにくいかたちに整えています。表面は鏡面ではなく、金属の輝きをあえて抑えたダイヤバーナーという加工を選ばれました。以前の結婚指輪がつや消しだったこと、そしてできるだけ出番を多くしたいというご希望から導かれた答えです。
【完成したジュエリーとその魅力】
完成した一本は、ゆるやかなV字が指の付け根に沿って静かに収まります。幅は3.0ミリ。ちょうど指の上から見えるあたりに、直径2.0ミリのダイヤモンドを5石、ふせこみ(石の上面を地金と同じ高さまで沈めて留める技法)で配置しました。留め具の突起がないため、衣類に引っかかる心配もありません。
表面のダイヤバーナーは、細かな筋目が光をやわらかく散らし、落ち着いたつやを生みます。その静かな面のなかで、5石のダイヤモンドだけが澄んだ光を返す。控えめでありながら、確かに華やぐ表情です。
縁にはわずかな磨きを残し、面と線のコントラストが全体を引き締めています。気負わず毎日の手元になじむ、そんな一本になりました。
【ジュエリープランナーより】
指輪が入らなくなったとき、サイズ直しが常に最善とは限りません。寸法の差が大きい場合は、無理に広げるよりも、地金を活かして作り直すほうが、結果として長くお使いいただけることがあります。何ができるかをご一緒に探すことが、私たちの役目だと考えています。
お手元にお戻ししたダイヤモンドは、いずれペンダントとして次のかたちへ、というお話も伺いました。想いは、かたちを変えて受け継がれていくものだと、あらためて感じています。