

| アイテム | リング |
|---|---|
| 石のカット | スクエア |
| 石の大きさ | 3mm×2mm(0.10ct) |
| 制作方法 | パターンオーダー |
| 金属の種類 | プラチナ、お持ちの金属 |





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ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
以前、お客様はご自身のジュエリーを当店でリフォームされました。仕上がった指輪をご覧になったお母様から、「自分もリフォームしたい」とのお話があったといいます。長くしまわれていた指輪を、もう一度日々の中で使いたいというお気持ちでした。
お母様は遠方にお住まいで、ご来店が難しい状況でした。そこで、お客様が代理としてご相談にお越しくださいました。お預かりしたのは、お母様の婚約指輪であるエメラルドのリングと、大ぶりなサファイアのリングです。
ちょうどお手元のジュエリーを見直す時期でもあり、使う機会のないものは手放し、思い入れのあるものは作り直して使いたい。「その方が持っている価値がある」というお客様の言葉が、今回のご依頼の出発点になりました。
【デザインのご提案とこだわり】
ご提案の出発点は、以前に当店でリフォームしたお客様ご自身のリングでした。同じ仕様であれば、実物をご覧になっているお母様にも仕上がりが伝わります。離れていても、安心してお任せいただけることを優先しました。
形は平打(表面が平らな板状のリング)、内側は内甲丸(指に触れる面をゆるやかに丸めた仕上げ)で、表面は鏡のように磨いています。センターストーン(中央の主役となる石)には婚約指輪のエメラルドを、両脇にはサファイアリングから外したダイヤモンドを彫り留め(地金を彫り起こして石を抱える技法)で並べました。
エメラルドは内包物を抱えやすく、衝撃に弱い宝石です。加工前に石の種類と性質を確かめる事前鑑別を行い、石の個性に合わせた留め方を選びました。四隅をL字型の爪で包み込み、平打のフォルムになじむよう爪を少し太めに調節。一体感と補強を兼ねています。地金には、お預かりしたプラチナを溶かして用いています。
【完成したジュエリーとその魅力】
仕上がったのは、指なじみのよい細身の平打リングです。中央には婚約指輪から受け継いだエメラルドが静かに収まり、その両脇をダイヤモンドの列が支えています。かつてサファイアを取り囲んでいた小さな石たちが、今度は主役を左右から支える並びへと役割を変えました。サファイアそのものは枠から外し、お手元へお返ししています。
以前は高さのある枠に据えられていた石が、今はまっすぐな面の上に落ち着きました。鏡面に磨かれた地金が光を返し、緑の澄んだ色をいっそう際立たせます。内甲丸に仕上げた内側は指の丸みに沿い、長く着けていても負担にならない着け心地です。
あらたまった席にも、何気ない一日にもなじむ細さです。しまわれたままだった石は、毎日の指先で息づく緑へと表情を変えました。
【ジュエリープランナーより】
お母様の婚約指輪の石が、お母様ご自身の毎日へ戻っていく。今回は、その道筋をお手伝いさせていただきました。
眠ったままの宝石にも、もう一度暮らしの中で輝く道があるかもしれません。無理を重ねてまで形を変えることはおすすめしませんが、何ができるかをご一緒に探すところから、いつでも始められます。
離れて暮らすご家族の間を、ひとつの指輪が行き来する。そのやりとりの真ん中に置いていただけたことを、ありがたく思っています。