

| アイテム | リング |
|---|---|
| 石のカット | ー |
| 石の大きさ | ー |
| 制作方法 | パターンオーダー |
| 金属の種類 | イエローゴールド、お持ちの金属 |





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ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
お客様がお持ちくださったのは、お母様から受け継いだ純金の指輪でした。ふっくらと丸みを帯びた甲丸(かまぼこ状に盛り上がった形状)の表面に、花の文様が丁寧に彫り込まれた一本。長い年月を経て、彫りの線はやわらかく摩耗していました。
純金の指輪ですから、売ればそれなりの値がつきます。それでもお金に換えるという選択は、お客様の中にありませんでした。「お金に変えても仕方ないし、このまま持っていても仕方ない」。かといって、引き出しの奥に眠らせたままにしておきたくもない。
受け継いだものを、これからも自分の手元で生かしていく方法はないだろうか。そのお気持ちを携えて、当店へお越しくださいました。
【デザインのご提案とこだわり】
ご希望は、しっかりと幅のある一本でした。細めだと結婚指輪に見えてしまうから、というお客様のお言葉が、方向性を決める鍵になりました。お母様から受け継いだ想いを日常で身に着けるのですから、婚約や結婚を示す記号とは違う佇まいであってほしい。そこで、断面が平らでまっすぐな平打を選び、幅を広めに設定しています。
素材は、お預かりした純金を溶かし、銀と銅を加えて18金に調合しました。純金はやわらかく、幅広の指輪として毎日身に着けるには傷や変形が生じやすいためです。新しい素材に入れ替えるのではなく、受け継いだ金そのものを強い地金へと組み替える。だからこそ、つながりが途切れません。
内側は思いきり丸みをもたせた内甲丸(指に当たる面を丸く仕上げる加工)とし、幅の広さを感じさせない着け心地を目指しました。
【完成したジュエリーとその魅力】
仕上がったのは、平らな面がまっすぐに続く、堂々とした佇まいの一本です。表面は鏡面仕上げとし、磨き込んだ面が光をそのまま返します。文様を持たないぶん、金そのものの質感が主役になりました。
18金の落ち着いた黄金色は、肌になじみながらも確かな存在感があります。純金のあたたかな色調とはまた少し異なる、張りのある色合いです。手を動かすたび、平らな面が角度を変えて光をとらえる。派手さではなく、視線が自然と留まる輝きです。
内甲丸に仕上げた内側は指の丸みに沿うため、幅がある割に着け心地は軽やかです。毎日着けても負担にならないことは、日常の一本として欠かせない条件でした。
【ジュエリープランナーより】
受け継いだジュエリーとの向き合い方に、決まった正解はありません。売却も、そのまま大切に保管することも、それぞれに意味のある選択です。
ただ、今回のお客様のように「着けられるかたちにしたい」と願われるとき、私たちにお手伝いできることがあります。素材が持つ記憶を、次の時間へ引き渡すこと。それがリフォームという仕事の本質だと考えています。
この一本が、これから先の毎日に静かに寄り添ってくれることを願っています。