アイテム | ペンダント |
---|---|
石のカット | オーバル |
石の大きさ | 7.76mm×5.87mm(1.21ct) |
制作方法 | デザインセレクト |
金属の種類 | イエローゴールド |
↑ マウスを重ねると大きく表示できます ↑
ジュエリー制作物語
【ご相談のきっかけ(想いの背景)】
幼い頃、お祖母様から贈られたグリーンのペンダント。
「これはエメラルドよ」と言っていたその姿も、15年以上前に他界された今では、記憶の中だけのものとなりました。
近年、ルース(裸石)を選んでジュエリーを仕立てる楽しみに目覚められたお客様は、ふとその懐かしいペンダントに目を留められました。
色あせた金具の中に残る小さな石--それは、ただの宝石ではなく、祖母との絆を象徴する“記憶のかけら”でした。
「宝石の種類はもう関係ない。あの頃の想い出を、今の自分の感性で形にしたい」
そんな想いを胸に、リフォームのご相談をいただきました。
【デザインのご提案とこだわり】
お預かりしたペンダントを拝見すると、地金はメッキ、センターストーンは天然エメラルドではなく天然クオーツ、脇石は模造石であることが判明しました。
しかし、お客様は迷うことなく、「素材の価値より、祖母の想いが込められた石を大切にしたい」とおっしゃいました。
そこで、既存のクオーツを活かすことを前提に、デザインのご提案を進めました。
モチーフに選んだのは、“鈴蘭”。可憐でありながら芯の強さを持つその花は、お客様の佇まいとどこか重なりました。
参考にされた事例「No.5715」や「No.6314」からインスピレーションを得て、葉の流れや花弁の丸みを抽象的に表現したフォルムをご提案。
地金にはイエローゴールドを採用し、グリーンの石との調和とクラシカルな美しさを引き出しました。
【完成したジュエリーとその魅力】
完成したのは、懐かしさと新しさが共鳴する、まるで物語のようなペンダントです。
天然クオーツは鈴蘭の実のように可憐に揺れ、繊細に広がる地金のラインが葉や茎を想わせます。
柔らかな光を受けて浮かび上がる立体感とともに、上品で控えめながらも印象的な存在感を放っています。
“あの頃”の記憶を“今の私らしさ”で包み直した、まさに時を超えたジュエリーとなりました。
【ジュエリープランナーより】
「これはエメラルドじゃないかもしれない」と、すでにお気づきだったお客様。
それでも、「石の価値以上に、物語を大切にしたい」という言葉に、私たちも深く胸を打たれました。
ご祖母様から受け継いだ想いと、お客様の美意識が自然に重なり合うよう、丁寧にデザインを組み上げました。
これからも新たなルースとの出会いを通じて、ご自身だけの物語を紡いでいかれることと思います。
その最初の一歩をご一緒できたこと、心より嬉しく思います。